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「弱いチームに広告出してどうする?」 “生卵事件”から“観客3万人超”へ ホークス人気の“仕掛け人”

暮らし

2023/03/02 14:25

1989年、福岡の地を踏んだホークス。

当初はBクラスが続き、怒ったファンが選手やバスに生卵を投げつける“事件”も発生。

「『弱いチームに(広告)出してどうすんのよ?』って言われました」

こう当時を振り返るのは、ホークスに入社して30年、マーケティング戦略などを担当してきた“仕掛け人”です。

今では平均観客動員数がパ・リーグ球団で唯一の3万人超えに。

さまざまな仕掛けでホークスを球界屈指の人気球団に押し上げて来た“仕掛け人”に密着しました。
世界一の巨大スクリーンに合わせて声援を送りー

球場のコンコースに並ぶオリジナルグルメに舌鼓を打つ。

野球の試合+アルファの魅力でファンを楽しませてきたペイペイドーム。

◆男性
「入ったときのわくわく感がすごくて、イベントもいっぱいある」

◆女性
「お店が多くて食べるものがいっぱいあって楽しい」

◆女性
「選手も好きだが、球場の雰囲気がとても好き」
平均観客動員数はパリーグ球団で唯一の3万人超え、球界屈指の人気球団をさまざまな仕掛けで盛り上げてきた人物が今回の主役です。

ホークスに入社して30年、ダイエー時代からマーケティング戦略などを担当し、現在グループ会社の会長、吉武隆さんです。

◆ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「当時(30年前は)いろいろあった。広告看板少なかったんですよ。『弱いチームに(広告を)出してどうするのよ』と言われました」
時は平成、1989年にホークスは福岡の地を踏みます。

市民の期待をよそに、当初はBクラスが続き、現在の王会長が監督に就任するも勝利には恵まれませんでした。

するとー

(「応援団がボイコット」、笛や太鼓での応援を止めた)

Q.笛や太鼓の応援がないが寂しくないか?
▼当時のファン
「これは結果やけん。ホークスの結果」

▼ホークスベンチ内の声
「(我々が)帰ったようにしないと、お客さん帰らない」
さらには、ファンが暴徒化。

選手やバスに生卵を投げつけました。

この時、苦しかったのは選手だけじゃなかったと吉武さんは振り返ります。

▼ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「年間指定席を売りに行っても『こんなチケット誰も欲しくないよ』と。『弱いチームに出してどうするのよ』って言われました。関心を持ってもらえないことが一番大きかった」
そんな状況を変えたのは1999年、歓喜の瞬間でした。

▼当時の試合実況
「王監督、笑顔が出ています。王監督、笑顔。4球目投げた!スイングアウト三振!福岡ダイエーホークス、球団創立11年目、悲願の初優勝!マウンドには歓喜の輪!」

▼ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「転機ですね。地元の人たちに、強いホークスに誇りを持ってもらった。営業に行ったら対応してもらえるようになった」
チームが強くなるとともに、観客・スポンサーも増えてきたと話す吉武さん。

ここでファンを獲得するために、ある仕掛けを行いました。

Q.もらったユニホームですよね?
◆女性
「もう、最高!」

◆男性
「勝つでしょう!」

そう、ユニホーム配布イベントです。

福岡の街をホークスユニホーム一色に変えたい。

そんな思いを込め仕掛けたイベントでしたが、すぐには浸透しませんでした。

◆ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「いい物をもらった、ということでカバンに入れたんですよ。みんな着ていないので『これはアカン』ってことで、『ぜひ着て応援してください』と投げかけをしましたね。そしたら本当に(観客席がユニホームで)真っ白になりましたね」
これが、毎年行われている恒例イベント「鷹の祭典」につながります。

鷹の祭典の日のチケットは軒並みほぼ完売。

チケット販売が、苦戦する試合を改善する役目を果たしています。
さらに、吉武さんが仕掛けたのはドームのホークスビジョンの拡大。

ジャンボジェット機3機分とも言われる世界最大のビジョンを使っての演出です。

試合中の選手紹介からチャンスの場面、さまざまな映像で試合を盛り上げています。

吉武さんはユニホーム配布とビジョン演出にはある狙いがあったといいます。

◆ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「試合を見に来るというよりは、エンタメを楽しんでもらいたい。ライトなファンにたくさん来てもらいたい」
吉武さんが入社した頃、4社ほどしかなかった外野の看板は現在60社以上。

各企業とのタイアップも多く、現在約650の企業がオフィシャルスポンサーについています。

ファンとスポンサーを巻き込み、球団を下支えしてきた吉武さん。

今シーズンは声出し応援が解禁され、ファンの声援が戻ってきます。

◆ホークスマーケティング 吉武隆 会長
「自分も楽しいことはお客さんも楽しいんだという信念でやってきた。(ファンには)ホークスと一緒になって戦ってもらいたい。ホークスと一緒に楽しんでもらいたい」

(TNC報道ワイド「記者のチカラ」 2023年3月1日OAより)

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